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2023 AUTUMN

市場で生まれた料理

韓国人が愛してやまない料理には、特定の市場で生まれたものが数多くある。こうした各地を代表する郷土料理は、全国的な名声を得てフランチャイズ・ブランドになり、地名が料理名として使われることもある。
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細長く伸ばした小麦粉の生地を2本ねじり合わせて、油で揚げたクァベギ。丸い小麦粉の生地で作ったあんドーナツ。昔ながらの市場でよく見られる食べ物だ。
© シャッターストック

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市場の食べ物は、一般的な店に比べて安価で量も多い。そのため昔ながらの市場は、会社帰りに一日の疲れを癒し、夕食を兼ねて一杯やるのにうってつけだ。
写真:マット・ロジャース、アンスプラッシュ


南大門(ナムデムン)市場や東大門(トンデムン)市場のような常設市場の他に、3日や5日ごとに開かれる定期市は、一般的に五日場(オイルジャン、五日市)と呼ばれる。この定期市は、朝鮮時代(1392-1910)の半ば以降とても栄え、今日までその伝統が続いている。市の立つ日には、地域の特産品や様々な食べ物が市場を埋め尽くす。この市の日は、売る物を頭に載せたり背負ったりした商人と、買い物に来た人であふれて活気がみなぎる。こうした市の日のにぎわいは、常設の市場と変わらない。母親と手をつないで市場に来た子どもたちにとっては、大人になっても忘れられない思い出になるだろう。

定期市であれ常設市場であれ昔ながらの市場の醍醐味は、何と言っても食べ物だ。市が立つ日にしか食べられない料理、市場に行かなければ食べられない料理が、口コミで広がった。そうした有名な料理が、自動車やインターネットの普及によって特定の市場を離れ、全国的に出店していった。安東(アンドン)旧市場のチムダク(鶏肉の甘辛煮)、全州(チョンジュ)南部市場の全州豆もやしクッパ(スープご飯)、羅州(ナジュ)五日場の羅州コムタン(牛の肉・骨・内臓のスープ)、浦項(ポハン)北部(プクプ)市場のムルフェ(刺身の冷たいスープ)など、多くの市場の名物料理が、ソウルや釜山(プサン)などの大都市に進出した。

トンダクに取って代わったチムダク

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安東は、昔から煮込み料理が発達していた。安東地方の郷土料理をまとめた16世紀の本『需雲雑方(スウンジャッパン)』にも、鶏肉を醤油で煮込んだ料理が紹介されている。安東旧市場で生まれた安東チムダクも、鶏肉などの材料を醤油で煮込んだ料理だ。
© スタジオ・ケン

慶尚北道(キョンサンブクト)にある安東は、朝鮮時代の私設教育機関といえる書院(ソウォン)や両班(ヤンバン、朝鮮時代の支配階級)の邸宅が残る地域だ。今も宗家では、儒教で先祖を祭る祭祀を年に数十回も行っている。そのため長らく安東を代表する料理は、手間がかかり品数の多い祭祀のお供え物だった。

しかし2000年代の初めに、同地を象徴する料理が大きく変わった。安東旧市場で生まれた安東チムダクが、全国的に人気を得たからだ。安東チムダクは、鶏肉を食べやすく下ごしらえし、ジャガイモ、ニンジン、キャベツ、シイタケなど様々な野菜やタンミョン(韓国の春雨)と一緒に醤油ベースの甘辛ソースで煮込んだ料理。このソースが味の決め手だ。材料は、醤油1カップ、水あめ1/2カップ、砂糖大さじ1杯、おろしニンニク小さじ2杯、ショウガ小さじ1杯、コショウ少々。小麦粉をまぶした玉ネギとネギからも旨味が出る。野菜の甘味が、安東チムダクを甘辛くてまろやかに仕上げてくれる。何よりも多彩な食感が魅力だ。野菜のシャキシャキとした食感、鶏肉のプリプリとした食感、ジャガイモとタンミョンのしっとりとした食感が絶妙に絡み合う。

安東旧市場には1970~80年代、鶏を丸ごと揚げたトンダクの店が多かった。当時の記録によると、ヤンニョムチキン(甘辛いソースをかけた鶏のから揚げ)の流行に対抗するため、トンダクの売れなくなった店がチムダクを開発したという。今では本場の安東チムダクを味わおうと、全国から数万人の観光客が同市場を訪れるほど名声を得ている。

商人の酔い覚まし

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ビビンバと並ぶ全州の名物・豆もやしクッパ。冷やご飯、さっと茹でたもやしに、熱いスープをかけた料理。全州南部市場の豆もやしクッパの特徴は、一般的に前菜として出される落とし卵(ポーチドエッグ)が別皿で添えられる点だ。半熟の卵にスープを入れ、海苔を混ぜて食べる。
© ゲッティイメージズ・コリア

慶尚北道に安東チムダクがあるように、全羅北道(チョンラブクト)には全州豆もやしクッパがある。全州豆もやしクッパは、煮干しのだし汁に豆もやしを入れてスープを作る。そこにご飯、さっと茹でて醤油で下味を付けた豆もやし、アミエビの塩辛を入れて煮る。スープが煮立ったら、炒めたキムチ、ゴマ、唐辛子の粉を少々加えて仕上げる。

全州豆もやしクッパが生まれたのは、かなり昔のことだ。1926年創刊の生活雑誌『別乾坤(ピョルゴンゴン)』に全州豆もやしクッパに関する内容がある。しかし、この料理が現在のように全国区になったのは、全州南部市場によるところが大きい。同市場は、1800年代にすでに市場として機能していたが、1960年代に建て直されて今に至る。全州はかつて全羅道の商業の中心だったので、同市場には慶尚道、忠清道(チュンチョンド)、さらには済州道(チェジュド)からも商人が集まってきた。そうした商人が腹ごしらえのために好んで食べたのが、豆もやしクッパだった。

特に全州南部市場の豆もやしクッパには、落とし卵(ポーチドエッグ)が別皿で添えられていた。落とし卵は昔から食べられていたが、調理に手間がかかるので貴重な料理とされていた。作り方は、お玉にのせた卵を沸騰したお湯に浸からない程度に入れ、白身だけが固まるように加熱する。同市場以外で落とし卵が出されることは少ない。淡泊でさっぱりした味で食べ終わると額に汗がにじむことから、代表的なヘジャンクク(酔い覚ましのスープ料理)とされている。

時間が生み出す滋養食

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澄んだスープとたっぷりの肉が特徴の羅州コムタン。また、熱いスープを注いでは空けてご飯を温める「トリョム」でも有名だ。かつて全羅道の中心だった羅州は、五日場(オイルジャン、五日市)が開かれると各地から多くの商人が押し寄せた。そうした人たちの空腹を満たし、気力を養ってくれたのが羅州コムタンだ。
© ニュースバンク

コムタンも韓国人の心を癒す料理だ。気力が衰えたり体調が優れない時、韓国人は申し合わせたようにコムタンを食べる。温かいスープ料理を食べれば元気が出ると考えているからだ。実際にコムタンほど栄養満点の料理もないだろう。調理方法を見ても、手間暇かけていることが分かる。スープに入れる牛肉は、ダイコンと一緒に前もって茹でて下味を付けておく。これを適当な大きさに切って、ネギなどの野菜と一緒にじっくり煮る。6時間以上煮込むので、栄養素がスープに溶け出す。

コムタンは、韓国で初めて定期市が立った全羅南道(チョンラナムド)の羅州が本場だ。市の日に全国から集まってきた商人が、空腹を満たそうとコムタンの店を訪れた。コムタンには、牛の頭部の肉や内臓などの副生物がたっぷり入っていて、値段も安かった。羅州一帯は穀倉地帯だったので、田畑を耕すために牛を育てる家が多かった。そのため自然と畜産業が発達し、牛の副生物がコムタンの材料になった。

しかし今では羅州に行っても、以前のように副生物だけをふんだんに使ったコムタンはなかなか食べられない。ほとんどの店が、牛の骨をじっくり煮込んだスープにバラ、スネ、ネックなどの牛肉を入れ、さらに煮込んでコムタンを作っている。熟成したカクテキ(カクトゥギ、ダイコンのキムチ)と一緒に食べれば、素晴らしい滋養食になる。この料理がコムタンと呼ばれるようになったのは、調理方法のためだ。「肉や骨などの旨味が出るまでじっくり煮込む」という意味の韓国語「コダ」に由来している。じっくり煮込む時間が、コムタンの調理の秘訣だ。

漁師の素朴な食事

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ムルフェ。刺身に千切りにした梨や野菜を加え、コチュジャン(唐辛子味噌)、ニンニク、砂糖、ゴマ油などで混ぜた後、氷水を注いだ料理。海に面した浦項北部市場は、新鮮な刺身が味わえる。1980年代から同市場のムルフェが口コミで広がり、全国から多くの人が訪れるようになった。
© 韓国観光公社

慶尚北道の浦項にある北部市場の名物は、ムルフェだ。ムルフェは元々、漁師の食べ物だった。陸から遠く離れて漁をする際、取った魚をご飯と混ぜて船上で食べたことに由来する。傷があって売れない魚を食べていた漁師の食事が、今や全国各地で見られるようになっている。

漁師の素朴な食事を最初に商品化したのは、1960年代の初めにオープンした嶺南(ヨンナム)ムルフェだといわれている。その後、ムルフェは浦項一帯に広がったが、特に1980年代に浦項北部市場で多くの店が出していた。当初は厚く切った刺身、たっぷりのご飯、千切りにしたキュウリをコチュジャン(唐辛子味噌)で混ぜた料理だったが、そのうち水を注いで食べるようになったという。1990年代には、ご飯の代わりに素麺を入れる店も出てきた。白身魚からサバなど赤身魚の刺身に変えたり、香ばしいきな粉をかけたりする店もあった。2000年代になると水の代わりに、梅のエキスや砂糖、すりおろしたリンゴやナシ、酢などのスープを入れるようになった。このように絶え間なく味を変えてきたムルフェは、韓国の夏の定番メニューになっている。


パク・ミヒャン 朴美香、ハンギョレ新聞記者

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